C++ API リファレンス
libsonare C++ インターフェースの API リファレンス。
概要
libsonare は C++ アプリケーション向けに、オーディオ解析、メーター、特徴抽出、編集 DSP、リアルタイムストリーミング、マスタリング、ミキシングを提供します。
sonare.h は解析・特徴量系の広い入口です。マスタリング、ミキシング、エンジン、グラフ、編集モジュールは、必要なサブシステムだけをインクルードしたい場合の専用ヘッダーも持っています。ブロック単位のストリーミングは C++ ストリーミング API で、特徴抽出・ピッチ追跡・主要な結果型は C++ 解析 API で、オーディオエフェクト・ミキシングエンジン・編集ヘルパー・幾何ベースのルーム音響は C++ エフェクト API で、C ABI は C ABI リファレンス で扱います。
このページで身につくこと
このページを読むと、次のことを判断・実装できるようになります。
- クイックヘルパー(
sonare::quick::*)、MusicAnalyzer、StreamAnalyzer、各モジュールヘッダー、C ABI を使い分けられる。 - どの C++ 側の入口が各言語バインディングの土台になっているかを理解できる。
- 音声読み込み、解析、ストリーミングフレーム、マスタリング、ミキシング、FFI に必要な struct / class を探せる。
- 目的別ガイドを読んだ後のリファレンスとして、このページを使える。
| コンポーネント | 目的 | 主なクラス/関数 |
|---|---|---|
| コア | オーディオI/Oと信号処理 | Audio, Spectrogram |
| Quick API | 一行で呼べる解析の入口 | quick::detect_bpm(), quick::detect_key(), quick::detect_beats(), quick::detect_onsets() |
| 幾何ベースのルーム音響 | 等価ルーム推定、RIR 合成、ルームモーフィング | estimate_room(), acoustic::synthesize_rir(), effects::acoustic::room_morph() |
| MusicAnalyzer | コールバック付きの楽曲解析 | MusicAnalyzer, AnalysisResult |
| ストリーミング | ブロック単位の MIR(音楽情報検索)フレームと更新されていく推定 | StreamAnalyzer, StreamConfig, FrameBuffer |
| 特徴量 | 低レベル特徴抽出と逆変換特徴量 | MelSpectrogram, Chroma, cqt(), vqt(), mel_to_audio() |
| エフェクト/編集 | オーディオ処理と小さな編集部品 | hpss(), time_stretch(), pitch_shift(), pitch editor / voice changer モジュール |
| マスタリング | プリセット、チェーン、名前付きプロセッサ、assistant/profile JSON | mastering::MasteringChain, mastering::api::* |
| ミキシング/エンジン | シーンベースのミキサーと DAW 風リアルタイムトランスポート | mixing::api::Scene, mixing::ChannelStrip, mixing::FxBus, RealtimeEngine |
| C ABI | バインディング向けの安定 FFI。C ABI リファレンスで解説 | sonare_c.h |
C++ でどの入口を使うか
| 目的 | インクルード / API |
|---|---|
| BPM、キー、ビート、オンセットを単発で見る | #include <sonare.h> と sonare::quick::* |
| 録音や IR からの音響指標(RT60、C50、DRR) | analysis/acoustic_analyzer.h の detect_acoustic(audio, AcousticConfig) / analyze_impulse_response(ir, AcousticConfig)(<sonare.h> に含まれる) |
| 幾何ベースのルーム推定、RIR 合成、ルームモーフィング | #include <analysis/room_estimator.h>, #include <acoustic/rir_synthesizer.h>, #include <effects/acoustic/room_morph.h> |
| 同じ音声から複数の楽曲解析結果を得る | MusicAnalyzer。中間特徴量を再利用できます |
| ライブビジュアライザや更新されていく推定 | #include <streaming/stream_analyzer.h> |
| マスタリングプリセットや名前付きプロセッサ | src/mastering/api/* ヘッダー。マスタリングプロセッサ も参照 |
| ステムミキサー / シーン JSON | src/mixing/api/scene.h と src/mixing/api/scene_json.cpp の概念。ミキシングエンジン も参照 |
| 言語バインディングやプラグイン境界 | C++ クラスではなく sonare_c.h |
この API を切り分けるビルドフラグ
解析、特徴量、エフェクト、メータリングは常にビルドされます。以下のサブシステムは個別の CMake オプションで、ソースビルドではすべて既定 ON ですが、絞ったビルドでは外すことができ、そのとき該当するシンボルはすべて消えます。
| オプション | 対象 |
|---|---|
BUILD_MASTERING | sonare::mastering::*、マスタリングの C ABI |
BUILD_MIXING | sonare::mixing::*、ミキサーの C ABI |
BUILD_MIXING_ASSISTANT | オフラインのミキシングアシスタント |
BUILD_GRAPH | ルーティンググラフライブラリ |
BUILD_FX | クリエイティブ系リアルタイム FX プロセッサと、SoundFont プレイヤーが送る GS システムエフェクト |
BUILD_ACOUSTIC_SIM | 幾何ベースのルーム音響(RIR 合成、ルーム推定、ルームモーフ) |
BUILD_VOICE_CHANGER | リアルタイムボイスチェンジャー |
BUILD_PITCH_EDITOR | スケールクオンタイズとノートセグメンテーション |
BUILD_ARRANGEMENT | MIDI とインストゥルメントのサブシステム(NativeSynth、GM フォールバックバンク、SoundFont プレイヤー)、およびヘッドレスのアレンジメント/DAW プロジェクト(sonare_c_project.h) |
BUILD_ASSIST | 作曲アシストの差し込み口(制御/オフラインのみ) |
一部のオプションは独立しておらず、configure の段階で矛盾を解消します。いずれもステータス行を出力するので、意図どおりに削れなかった場合は configure の出力に現れます。
BUILD_MIXING_ASSISTANTはBUILD_MIXINGを ON に戻します。BUILD_MIXINGはBUILD_MASTERINGとBUILD_GRAPHを ON に戻します。BUILD_VOICE_CHANGERはBUILD_MASTERINGが OFF のとき、自分自身を OFF にします。SONARE_WASM_ANALYSIS_ONLYはBUILD_MIXING_ASSISTANTを OFF にします。解析専用の WebAssembly モジュールにミキシングアシスタントは含まれません。
はじめの 2 つは連鎖します。そしてこれが、削ったつもりが削れていない原因になりがちな組み合わせです。BUILD_MIXING_ASSISTANT を既定の ON のままにすると、ミキサー・マスタリングライブラリ・ルーティンググラフは、いくつ OFF を渡していても再び取り込まれます。
C ABI はプロジェクト系のシンボルを常に エクスポート します。BUILD_ARRANGEMENT なしでビルドした場合、それらは SONARE_ERROR_NOT_SUPPORTED を返し、sonare_project_abi_version() は 0 を返します。
BUILD_PITCH_EDITOR も同じ扱いです。-DBUILD_PITCH_EDITOR=OFF でビルドすると、sonare_scale_quantize_midi、sonare_scale_correction_semitones、sonare_scale_pitch_class_enabled、sonare_note_segments はエクスポートされたまま SONARE_ERROR_NOT_SUPPORTED を返します。出力引数は判定の前にゼロクリアされるので、この経路で返されたポインタを解放しても安全です。ライブラリはこのオプションを OFF にした状態で configure・ビルドできますが、ネイティブ CLI はできません。5 つのコマンドがピッチエディタを直接呼んでいるためです。
C ABI のバージョン
フラットな POD 構造体を宣言する C ABI ヘッダーは、それぞれ構造体の正確なサイズとメンバーオフセットを保証するバージョンマクロを持ちます。sonare_c.h はこれらを 1 つの集約値 SONARE_ABI_VERSION に詰め込み、sonare_abi_version() は読み込まれたライブラリがコンパイル時に持っていた値を返します。
| マクロ | 値 | 宣言場所 | 集約値でのビット |
|---|---|---|---|
SONARE_FEATURE_ABI_VERSION | 7 | sonare_c_types.h | 0〜7 |
SONARE_PROJECT_ABI_VERSION | 2 | sonare_c_project.h | 8〜15 |
SONARE_VOICE_CHANGER_ABI_VERSION | 3 | sonare_c_voice_changer.h | 16〜23 |
SONARE_ACOUSTIC_ABI_VERSION | 5 | sonare_c_acoustic.h | 24〜31 |
集約値は 0x05030207 です。Feature のバージョンは、特徴量 POD のレイアウトに加えて、voiced 引数を含むノート API など、公開する一般 C 関数のシグネチャも保証します。リアルタイムのコマンドキューは POD ではなく SharedArrayBuffer のレコードレイアウトを表すため、これとは別に sonare_engine_abi_version()(現在は 3)でバージョン管理されます。
POD を境界越しに渡す利用側は、最初の呼び出しの前に一度だけ sonare_abi_version() を自分のコンパイル時の SONARE_ABI_VERSION と比較し、一致しなければ先へ進みません。値が違えば両者の構造体レイアウトまたは保証対象の関数契約は一致しておらず、POD 経路は失敗するのではなくメモリを壊します。JSON の入口はレイアウトのずれを許容するので、この関門は不要です。バージョンは、保証対象の構造体レイアウトまたは Feature の関数シグネチャが変わるたびに進みます(Project のバージョンはレイアウトが変わったリリースごとに 1 回)。したがって値が等しければレイアウトと契約は同一であり、保証対象の構造体へのフィールド追加は「追加的な変更」ではなくバージョンの更新です。各バインディングが読み込み時にどの値を照合するかは ネイティブバインディング にまとめています。
バージョン付き構造体と既定値
呼び出し側が埋める保証対象の構造体は自分のレイアウトバージョンを持ち、古いレイアウトでビルドされた呼び出しは、誤ったオフセットで読まれずに拒否されます。*_default() 関数がある構造体は、そこから始めてください。ゼロ初期化した構造体が既定値になるとは限りません。3 列目に、ゼロ初期化したときの扱いを示します。
| 構造体 | バージョンフィールド | ゼロ初期化したときの扱い | 開始点 |
|---|---|---|---|
SonareMusicAnalyzeOptions | 先頭の struct_version。SONARE_MUSIC_ANALYZE_OPTIONS_VERSION(2)でなければならず、sonare_analyze_json_ex は他の値を拒否します | 拒否される(meter_candidate_numerator_count が 0 だと拒否されます) | sonare_music_analyze_options_default() |
SonareChordDetectionOptions | 先頭の struct_version。0 または SONARE_CHORD_DETECTION_OPTIONS_VERSION(2) | 拒否される。n_fft、hop_length、smoothing_window は正の値が必要で、0 のままでよいのはバージョンだけです | _default() はありません。ゼロ初期化したうえで全フィールドを設定します |
SonareBoundaryOptions | なし。44 バイトで、use_chroma の後に reference_window を持ちます(相対しきい値を測る片側の秒数。既定 60、0 で相対しきい値を無効化) | 受理されるが検出結果が変わる(absolute_threshold が 0 だと定常入力を区間に分けます) | sonare_boundary_options_default() |
SonareTranscribeConfig | struct_version は 1、2、3 のいずれか。バージョン 1 と 2 も引き続き読まれます | struct_version を設定すれば既定値になる | sonare_transcribe_config_default() |
SonarePolyphonicConfig | struct_version は 0、1、2 のいずれか。バージョン 0 と 1 も引き続き読まれます | 既定値になる(NULL の設定も同じ読まれ方) | ゼロ初期化 |
SonareSynthPatch | struct_version は SONARE_SYNTH_PATCH_STRUCT_VERSION(10)まで。バージョン 9 以前も引き続き読まれ、レイアウトは C ABI リファレンス に書かれています | 初期パッチになる | sonare_synth_preset_patch(name, &patch)、またはゼロ初期化 |
SonareRoomMorphConfig | 末尾に receiver_spacing_m(ネイティブで 128 バイト、wasm32 で 108 バイト)。sonare_room_morph はこのフィールドを読みません | ジオメトリと配置を設定するまで拒否される。間隔が 0 なら既定の 0.5 m | ゼロ初期化したうえでジオメトリと配置を設定 |
SonareRealtimeVoiceChangerConfig | 先頭の struct_version(0 または 1)と、フォルマント系フィールドの後ろの formant_mode(全体で 152 バイト)。formant_mode は作成時に固定され、異なるモードの set_config は拒否されます。レイアウトは SONARE_VOICE_CHANGER_ABI_VERSION が保証します | ISP リミッターが無効になる | sonare_realtime_voice_changer_config_default() |
SonareTranscribeConfig のバージョン 2 は reference_auto(reference_hz を読まずチューニング基準を測定する)を末尾に追加します。バージョン 3 はポリフォニックの上限 max_polyphony(最大 64、既定 10)、min_frame_peak_ratio(0.20)、min_ridge_peak_ratio(0.10)、reattack_ratio(2.0)と min_note_division を追加します。上限の 4 つは polyphonic が 0 のとき、フィールド名を挙げた InvalidParameter で拒否されます。SonarePolyphonicConfig のバージョン 2 は reattack_ratio(0 なら再打鍵の分割はオフ)を追加します。
結果構造体の SonareChordAnalysisResult、SonareMelResult、SonareMfccResult、SonareTranscribeResult も先頭に struct_version を持ちます。これはライブラリが書き込むので、呼び出し側は読むだけです。結果は使用したチューニングを報告し(SonareChordAnalysisResult.tuning、SonareTranscribeResult.tuning)、Mel と MFCC の結果は逆変換に必要な順変換のパラメータを持ちます。SonareProjectLoopRecordingDesc では Project ABI バージョンは動きません。以前の reserved ワードが flags になり、0 または SONARE_PROJECT_LOOP_RECORDING_DROP_PARTIAL_TAIL を受け付け、他のビットは拒否されるので、呼び出し側は 0 にしてください。
ゼロ初期化した SonareEngineTrackLane はモノラルのソースとして読まれ、sonare_engine_set_track_lanes はステレオ以外のソースレイアウトを拒否します。すべてのレーンに source_channel_layout = SONARE_CHANNEL_LAYOUT_STEREO を設定してください。
リンクターゲット
インストール済みの libsonare は、サブシステムごとの CMake ターゲットと、そのインストールに含まれるものをまとめて張る集約ターゲットをエクスポートします。
find_package(sonare REQUIRED)
target_link_libraries(app PRIVATE sonare::sonare)既定は sonare::sonare で問題ありません。これはインストールに含まれる静的アーカイブすべてを束ねた集約ターゲットなので、どのアーカイブが必要でどの順に並べるかを自分で考える必要はありません。ただし sonare::shared は意図的に含みません。これは FFI バインディングが読み込む C ABI の共有ライブラリで、それ自身がすべての静的アーカイブをリンク済みです。両方を 1 つのリンク行に並べると、各シンボルが二重に定義されてしまいます。
リンクを絞りたい場合は、アーカイブを直接指定します(sonare::core、sonare::rt、sonare::mastering、sonare::mixing、sonare::midi、sonare::engine など、上の表のサブシステムに対応)。どれが存在するかはインストール時の構成によって変わるため、if(TARGET sonare::mixing) かパッケージ設定が定義する SONARE_WITH_* 変数で分岐してください。コンポーネントとして指定すると、欠けている場合にリンク時の未定義シンボルではなく configure 時のエラーになります。
find_package(sonare REQUIRED COMPONENTS midi)コンポーネント名はオプション名ではなくターゲット名
コンポーネントはエクスポートされたターゲット名と 1 対 1 に対応します。これは内部のターゲット名から sonare_ の接頭辞を取り除いたもので、それを制御する BUILD_* オプションの名前ではありません。BUILD_ACOUSTIC_SIM が作るのは sonare::acoustic なので、コンポーネント名は acoustic です。同様に mixing_assistant、pitch_editor、voice_changer となります。どの綴りでも存在しないコンポーネントを要求すると「libsonare was installed without the '…' component」というエラーになり、本当にサブシステムが欠けている場合と区別がつきません。
エイリアス名は add_subdirectory() ビルドでも同じなので、リンク行に libsonare の入手経路が現れることはありません。
インストール済みビルドについて、計画を立てる前に知っておきたい性質が 2 つあります。
- Eigen は利用側の要件ではありません。 インストールされるヘッダーはどれも Eigen を include しないため、利用側に必要なのは C++17 コンパイラと解決可能なスレッドライブラリだけです。パッケージ設定が宣言するのは
Threads(および FFmpeg 付きでビルドされた場合の FFmpeg)のみです。 - 同梱の FFT アーカイブは接頭辞付きのファイル名でインストールされます。
libsonare_kissfft.aとlibsonare_pffft.aであり、利用側のライブラリディレクトリで一般的な名前を占有することはありません。CMake のターゲット名は変わりません。
インストールされるヘッダー
cmake --install は、インクルードルートの下に 2 つのヘッダーツリーを書き出します。
| ツリー | インクルードの書き方 | 内容 |
|---|---|---|
include/sonare/ | <sonare/sonare_c.h> | C ABI のヘッダー |
include/sonare/cpp/ | <sonare/cpp/sonare.h> | src/ の C++ ヘッダーツリー全体。ヘッダー同士が src 相対パスで互いを include するため、構造を保ったまま置かれます |
エクスポートされるターゲットは include/sonare/cpp も利用側のインクルードパスに加えるので、ツリー内の書き方(<sonare.h>、<core/audio.h>、<midi/ump.h>)も解決され、ソースチェックアウトに対して書いたコードがそのままコンパイルできます。名前空間付きの <sonare/cpp/...> なら、こうした一般的な名前のルートが利用側のインクルードパスに入りません。C++ ツリーには、WASM ラッパー、macOS のホストバックエンド、C ABI の実装ヘッダーは含まれません。C ABI には <sonare/sonare_c.h> を使います。
sonare.pc は共有ライブラリ構成でのみインストールされます。pkg-config が正しく記述できるのはその構成だけだからです。静的ライブラリのみのインストールでは生成されません。
エクスポートされる各ターゲットは、専用のゲートで検証されています。プレフィックスにインストールしたうえで別の利用側プロジェクトを configure・ビルドし、各アーカイブを丸ごと強制ロードして、そのアーカイブ自身が宣言するリンクインターフェースに照らして確かめるものです。インストール規則の漏れや、リンクインターフェースの記述不足はこれで捕まります。どちらもソースツリーの内側からは見えません。ツリー内ではすべてのターゲットが全アーカイブをリンクしているからです。
内蔵インストゥルメントだけをリンクする
シンセサイザー、GM フォールバックバンク、SoundFont プレイヤーはいずれも sonare::midi にあります。MIDI を音声にレンダリングするだけで解析もマスタリングも行わないアプリケーション(プレイヤー、ゲーム、MIDI 駆動のツールなど)は、制作系のサブシステムを外してこのアーカイブだけをリンクできます。BUILD_TESTING と BUILD_CLI はどちらも既定が ON なので、これらをそのままにした構成ではテストツリーとコマンドラインツールも一緒にコンパイルされます。
cmake -B build -DCMAKE_BUILD_TYPE=Release \
-DBUILD_ARRANGEMENT=ON \
-DBUILD_MASTERING=OFF -DBUILD_MIXING=OFF -DBUILD_MIXING_ASSISTANT=OFF \
-DBUILD_GRAPH=OFF -DBUILD_ACOUSTIC_SIM=OFF \
-DBUILD_VOICE_CHANGER=OFF -DBUILD_ASSIST=OFF
cmake --build build --parallel
cmake --install build --prefix /your/prefixfind_package(sonare REQUIRED COMPONENTS midi)
target_link_libraries(app PRIVATE sonare::midi)#include <midi/synth/native_synth.h>
#include <midi/synth/synth_presets.h>
#include <midi/ump.h>
using namespace sonare::midi;
const synth::SynthPreset* preset = synth::find_synth_preset("acoustic-piano");
synth::NativeSynth instrument(preset->config);
instrument.prepare(48000.0, 512);
MidiEvent note_on{};
note_on.ump = make_midi1_note_on(/*group=*/0, /*channel=*/0, /*note=*/60, /*velocity=*/100);
instrument.on_event(/*destination_id=*/0, note_on);
float* channels[2] = {left, right};
instrument.process(channels, 2, 512);インストールされたヘッダは 2 通りの書き方で解決します。上の例のようなツリー内と同じパスと、インクルードルート経由の <sonare/cpp/midi/synth/native_synth.h> です(インストールされるヘッダーを参照)。
この構成を前提に設計する前に、3 つの制限を押さえてください。
- 解析は外せません。 解析、特徴量、エフェクト、メータリングにはビルドフラグがなく、
sonare::midiはsonare::coreをリンクするため、呼び出すかどうかにかかわらずバイナリに入ります。トリムで外れるのはマスタリング、ミキシング、ルーム音響、ボイスチェンジャーです。 BUILD_ARRANGEMENTは 1 つのスイッチで 2 つのものを制御します。 インストゥルメントのために ON にすると、アレンジメント/MIR/シリアライズのアーカイブもビルドされます。リンクする必要はありませんが、コンパイルはされます。BUILD_FX=OFFにすると SoundFont プレイヤーはドライで鳴ります。 GS システムエフェクト(リバーブ、コーラス、ディレイの送り)がコンパイルから外れ、送りは無効になります。それを望まない限りBUILD_FX=ONのままにしてください。
このトリムは C++ のソースビルドでのみ可能です。npm パッケージは解析専用バンドルを公開していますが(インストール を参照)、インストゥルメント専用のものはなく、Python ホイールはフルビルド 1 種類です。
インストゥルメント自体で何ができるかは、内蔵シンセサイザー と SoundFont 2 プレイヤー を参照してください。
用語について
オーディオ解析が初めてですか?用語集 で BPM、STFT、Chroma、HPSS などの用語の説明をご覧ください。
名前空間
すべての libsonare 機能は sonare 名前空間に含まれています。
#include <sonare.h>
using namespace sonare;コアクラス
Audio
共有所有権とゼロコピースライシングを持つオーディオバッファ。
ファクトリメソッド
// 生サンプルバッファから(コピー)
static Audio Audio::from_buffer(const float* samples, size_t size, int sample_rate);
// ベクターから(ムーブ)
static Audio Audio::from_vector(std::vector<float> samples, int sample_rate);
// ファイルから(標準は WAV/MP3。SONARE_WITH_FFMPEG 有効ビルドでは FFmpeg 対応形式)
// デコード失敗時は SonareException
static Audio Audio::from_file(const std::string& path);
// メモリ上のエンコード済み音声から。対応形式は from_file() と同じ
// デコード失敗時は SonareException
static Audio Audio::from_memory(const uint8_t* data, size_t size);
// 同じデコードでダウンミックスなし。要素 i はソースのチャンネル i(ソース自身の順序)
static std::vector<Audio> Audio::from_memory_channels(const uint8_t* data, size_t size);
// ファイルの 1 チャンネルだけを、ダウンミックスなしで読み込む
// ファイルにないチャンネルは SonareException(InvalidParameter)
static Audio Audio::from_file_channel(const std::string& path, int channel_index);C ABI では sonare_decode_channels(data, length, &samples, &frames, &channels, &sample_rate) が対応します。プレーンをそのまま続けて返し(5.1 の順序は L R C LFE Ls Rs。解放は sonare_free_floats)、sonare_downmix(channels, frames, channel_count, target_layout, &out) は、プレーナーなチャンネルを、デコーダーと同じ ITU-R BS.775 の規則で、より狭い SonareChannelLayout に畳み込みます。センターとサラウンドは -3 dB でフロントペアに入り、LFE プレーンは破棄されます。アップミックスは拒否されます。
プロパティ
const float* data() const; // サンプルへのポインタ
size_t size() const; // サンプル数
int sample_rate() const; // サンプルレート (Hz)
float duration() const; // 長さ (秒)
bool empty() const; // サンプルがない場合 trueAudio は常に 1 チャンネルを保持します。ファイルの各チャンネルは from_file_channel で個別に、または from_memory_channels でまとめて読み込みます。
操作
// 時間によるゼロコピースライス
Audio slice(float start_time, float end_time = -1.0f) const;
// サンプルインデックスによるゼロコピースライス
Audio slice_samples(size_t start_sample, size_t end_sample = -1) const;
// サンプルアクセス
float operator[](size_t index) const;
// イテレータサポート
const float* begin() const;
const float* end() const;大きなファイルの処理
非常に大きなファイルを扱う場合は、読み込み後に slice() でセグメントに分割して処理することを検討してください。audio.slice(0.0f, 30.0f) や audio.slice(60.0f, 90.0f) はデコード済みバッファをコピーせず共有します。
Spectrogram
オーディオ信号の短時間フーリエ変換(STFT)。
struct StftConfig {
int n_fft = 2048;
int hop_length = 512;
int win_length = 0; // 0 = n_fft
WindowType window = WindowType::Hann;
bool center = true;
PadMode pad_mode = PadMode::Constant;
};
// STFT を計算
auto spec = Spectrogram::compute(audio, config);
// プロパティ
spec.n_bins(); // 周波数ビン (n_fft/2 + 1)
spec.n_frames(); // 時間フレーム
spec.n_fft();
spec.hop_length();
spec.sample_rate();
// データアクセス
spec.complex_view(); // [n_bins x n_frames]
spec.magnitude(); // キャッシュ済み
spec.power(); // キャッシュ済み
spec.to_db(); // dB に変換
// 再構成
auto reconstructed = spec.to_audio();スレッドセーフティ
Spectrogram オブジェクトはスレッドセーフではありません。キャッシュされた magnitude() および power() の結果は遅延初期化を使用します。複数のスレッドから同じ Spectrogram にアクセスする必要がある場合は、別々のコピーを作成するか、外部で同期を行ってください。
Quick API
一般的な解析タスクのためのシンプルな関数群です。1 回限りの BPM・キー・ビート・ダウンビート・オンセット検出に向きます。
Quick API と MusicAnalyzer の使い分け
- Quick API(
sonare::quick::...) — 1 つの結果だけが欲しいとき。内部で必要なステージだけを走らせます。 - MusicAnalyzer — 同じ音源から BPM・キー・コード・セクションなど複数の結果が必要なとき。中間特徴量(STFT・クロマ・オンセット包絡線)を共有して二重計算を避けます。
namespace sonare::quick {
// BPM 検出
float detect_bpm(const float* samples, size_t length, int sample_rate);
// キー検出
Key detect_key(const float* samples, size_t length, int sample_rate);
Key detect_key(const float* samples, size_t length, int sample_rate, const KeyConfig& config);
// out_tuning は使用したチューニングを受け取る。KeyConfig::auto_tuning なら測定値、それ以外は指定値
Key detect_key(const float* samples, size_t length, int sample_rate, const KeyConfig& config,
float* out_tuning);
std::vector<KeyCandidate> detect_key_candidates(const float* samples, size_t length, int sample_rate,
const KeyConfig& config = KeyConfig());
// ビート時刻(秒)
std::vector<float> detect_beats(const float* samples, size_t length, int sample_rate);
// ダウンビート時刻(秒)
std::vector<float> detect_downbeats(const float* samples, size_t length, int sample_rate);
// オンセット時刻(秒)
std::vector<float> detect_onsets(const float* samples, size_t length, int sample_rate);
std::vector<float> detect_onsets(const float* samples, size_t length, int sample_rate,
const OnsetDetectConfig& config);
// 総合解析
AnalysisResult analyze(const float* samples, size_t length, int sample_rate);
}MusicAnalyzer Heavy
複数の音楽解析をまとめて扱う、遅延初期化のクラスです。
パフォーマンス
総合解析は計算負荷が高いです。長い音声ファイル(3分以上)の場合は、進捗コールバックで進み具合を表示するか、必要な区間だけを解析することを検討してください。
MusicAnalyzerConfig config;
config.bpm_min = 80.0f;
config.bpm_max = 180.0f;
MusicAnalyzer analyzer(audio, config);
// 進捗コールバックを設定
analyzer.set_progress_callback([](float progress, const char* stage) {
std::cout << stage << ": " << (progress * 100) << "%\n";
});
// 個別の結果
float bpm = analyzer.bpm();
Key key = analyzer.key();
auto beats = analyzer.beat_times();
auto chords = analyzer.chords();
// 総合解析
auto result = analyzer.analyze();列挙型
enum class PitchClass {
C = 0, Cs, D, Ds, E, F, Fs, G, Gs, A, As, B
};
enum class Mode {
Major, Minor, Dorian, Phrygian, Lydian, Mixolydian, Locrian
};
enum class ChordQuality {
Major, Minor, Diminished, Augmented,
Dominant7, Major7, Minor7, Sus2, Sus4, Unknown,
Add9, MinorAdd9, Dim7, HalfDim7, Major9, Dominant9, Sus2Add4,
Major6, Minor6, MinorMajor7, Dominant7Sus4, Dominant11, Dominant13,
Dominant7b9, Dominant7s9
};
enum class SectionType {
Intro, Verse, PreChorus, Chorus, Bridge, Instrumental, Outro, Unknown // PreChorus は SectionAnalyzer が生成しない
};
enum class WindowType {
Hann, Hamming, Blackman, Rectangular
};単位変換
// Hz <-> Mel (Slaney 式)
float hz_to_mel(float hz);
float mel_to_hz(float mel);
// Hz <-> MIDI ノート番号
float hz_to_midi(float hz); // A4 = 440Hz = 69
float midi_to_hz(float midi);
// Hz <-> ノート名。変換できない入力には SonareException(InvalidParameter)を送出する:
// 解析できないノート名やオクターブが -1〜9 の外にあるもの、有限の正数でない hz
std::string hz_to_note(float hz); // "A4", "C#5"
float note_to_hz(const std::string& note);
// 時間 <-> フレーム
float frames_to_time(int frames, int sr, int hop_length);
int time_to_frames(float time, int sr, int hop_length);
// フレーム <-> サンプル(librosa.frames_to_samples / samples_to_frames)
int frames_to_samples(int frames, int hop_length, int n_fft = 0);
int samples_to_frames(int samples, int hop_length, int n_fft = 0);
// dB 変換(librosa.power_to_db / amplitude_to_db とその逆)。
// 宣言は <core/db_convert.h>。<sonare.h> には含まれない。
std::vector<float> power_to_db(const std::vector<float>& values,
float ref = 1.0f, float amin = 1e-10f, float top_db = 80.0f);
std::vector<float> amplitude_to_db(const std::vector<float>& values,
float ref = 1.0f, float amin = 1e-5f, float top_db = 80.0f);
std::vector<float> db_to_power(const std::vector<float>& values, float ref = 1.0f);
std::vector<float> db_to_amplitude(const std::vector<float>& values, float ref = 1.0f);C ABI では同じ 2 つの変換は例外を投げられないため、失敗を戻り値で示します。float sonare_note_to_hz(const char* note) は NaN を、const char* sonare_hz_to_note(float hz) は NULL を返し、そのとき sonare_last_error_code() は SONARE_ERROR_INVALID_PARAMETER で、詳細は sonare_last_error_message() にあります。sonare_hz_to_note の戻り値は次の呼び出しで上書きされるスレッドローカル領域なので、コピーして使い、解放しないでください。
解析のチューニング単位(半音の端数。[-0.5, 0.5))は、sonare_tuning_to_reference_hz(tuning, a4, &hz)(a4 * 2^(tuning / 12))と sonare_reference_hz_to_tuning(hz, a4, &tuning) で、基準音を表す Hz との間で変換できます。a4 の既定は 440 です。sonare_scale_mask_for_mode(root, mode, &mask) は SonareMode の 12 ビットのスケールマスクを、スケール量子化器と SonarePitchCorrectionConfig が読むレイアウトで返します。
マスタリング
高レベルのマスタリング API は sonare::mastering::api にあります。master_audio_mono / master_audio_stereo は組み込みの Preset(必要に応じてフラットなドット記法の上書き値付き)を適用し、チェーン結果を返します。preset_* ヘルパーはプリセット識別子の列挙と解決を行います。
#include <mastering/api/presets.h>
namespace api = sonare::mastering::api;
// 30 個の組み込みプリセット: Pop, EDM, Acoustic, HipHop, AIMusic, Speech, Streaming,
// YouTube, Broadcast, Podcast, Audiobook, Cinema, JPop, Ambient, Lofi, Classical,
// DrumAndBass, Techno, Metal, Trap, RnB, Jazz, KPop, Trance, GameOst に加えて、
// 復元系の Vinyl, TapeHiss, FieldRecording, VoiceMemo, Shellac78。
std::vector<std::string> names = api::preset_names();
api::Preset preset = api::preset_from_string("aiMusic");
// 任意のフラットな上書き値(チェーン設定 params と同じドット記法)
api::Param overrides[] = {{"loudness.targetLufs", -13.0f}};
// リミッターは "maximizer.truePeakLimiter.releaseMs" と
// "maximizer.truePeakLimiter.applyGainAtInputRate" も直接上書き値として受け取ります。
api::MonoChainResult result = api::master_audio_mono(
preset, samples.data(), samples.size(), sample_rate, overrides, 1);
// result にはレンダリング後のサンプルと各ステージの指標が含まれます。
// ステレオ版:
// api::master_audio_stereo(preset, left, right, length, sample_rate, overrides, 1);マスタリングプリセットを扱うときに役立つヘルパーが 2 つあります。
| ヘルパー | 用途 |
|---|---|
preset_to_string(Preset) | 正規のプリセット識別子を得る。例外を投げず、不正値には "unknown" を返す |
preset_config(Preset) | チェーン実行前に確認・調整できる可変の MasteringChainConfig を得る |
名前付きプロセッサのレジストリやアシスタント/プロファイルの JSON ヘルパーは、マスタリングプロセッサ と マスタリングアシスタント を参照してください。
C ABI レベルでは、SonareMasteringConfig が同じリミッター制御を追加フィールドの release_ms と apply_gain_at_input_rate として公開します。呼び出し側は引き続き実際の target_lufs と ceiling_db を渡す必要があります。追加されたリミッターフィールドを 0 のままにすると従来動作を保ち、release_ms == 0 は 50 ms の既定値、apply_gain_at_input_rate == 0 は入力レートでのゲイン適用をオフのまま保ちます。
ステレオのプロファイル・アシスタント・プレビュー
プロファイル、アシスタント、配信プレビューの各 JSON ヘルパーには、両チャンネルを読むステレオ入口があります。ステレオのクレストファクターメーターも同じ系統です。
#include <sonare/sonare_c_mastering.h>
#include <sonare/sonare_c_metering.h>
SonareError sonare_mastering_audio_profile_stereo(const float* left, const float* right,
size_t length, int sample_rate,
const SonareMasteringParam* params,
size_t param_count, char** json_out);
SonareError sonare_mastering_assistant_suggest_stereo(const float* left, const float* right,
size_t length, int sample_rate,
const SonareMasteringParam* params,
size_t param_count, char** json_out);
SonareError sonare_mastering_streaming_preview_stereo(const float* left, const float* right,
size_t length, int sample_rate,
const SonareStreamingPlatform* platforms,
size_t platform_count, char** json_out);
SonareError sonare_metering_crest_factor_db_stereo(const float* left, const float* right,
size_t length, int sample_rate, float* out_db);*json_out はヒープ確保されるので、モノラル入口と同じ契約で sonare_free_string により解放します。platforms に NULL / 0 を渡すとエラーにはならず、組み込みの Spotify / Apple Music / YouTube のリストが使われます。
2 チャンネルの素材を扱うときは、常にステレオ側を使ってください。モノラル入口は 0.5 * (left + right) のダウンミックスを測定するため、相関の低いステレオ素材では約 6 dB 低く出ます。その分だけ、積分ラウドネス、そこから導かれるノーマライズゲイン、ピーク余裕の判定がまとめて過小評価されます。相関を落としたピンクノイズのペア(48 kHz・4 秒)では、ダウンミックス経由が -22.55 LUFS、ステレオ経由が -16.44 LUFS で、差は 6.11 dB でした。同じ差が Spotify の normalizationGainDb を +2.44 から +8.55 に押し上げます。相関の高いペアでは差はダウンミックスで振幅が半分になる 3.01 dB にとどまります。ステレオプロファイルのうち両チャンネルから測るのは loudness ブロックだけです(積分 LUFS と LRA はチャンネルを合算したプログラムから、True Peak は 2 つのうち大きい方です)。スペクトル・ダイナミクス・テンポの各フィールドは、絶対レベルではなく形と時間構造を表します。そのためダウンミックス基準のまま据え置かれており、モノラル呼び出しの結果とそのまま比較できます。
sonare_metering_crest_factor_db_stereo は逆向きの誤差を正します。ピークは両チャンネルにまたがって取り、RMS は両チャンネルをまとめて計算します。ダウンミックスでは逆相のペアが打ち消し合い、RMS を小さく見積もる分だけクレストファクターが大きく出てしまうためです。位相を反転させたペアでは、ステレオメーターが 11.64 dB、ダウンミックス経由が 0.00 dB になります。
エラーハンドリング
class SonareException : public std::runtime_error {
public:
explicit SonareException(ErrorCode code);
SonareException(ErrorCode code, const std::string& message);
ErrorCode code() const;
};
try {
auto audio = Audio::from_file("nonexistent.mp3");
} catch (const SonareException& e) {
if (e.code() == ErrorCode::FileNotFound) {
// ファイルが見つからない場合の処理
}
}C ABI では、戻り値の SonareError が結果で、ライブラリが例外として捕捉した失敗の詳細は sonare_last_error_message() にあります。検証による早期リターン(範囲外のサンプルレート、空または非有限のバッファ、NULL の出力ポインタ)はコードを返すだけでメッセージを記録しないので、読める文面は sonare_error_message(code) で得ます。ハンドルやポインタを返す関数は失敗を NULL で報告し、sonare_last_error_code() がメッセージと並んで記録された SonareError(なければ SONARE_OK)を返すので、呼び出し側は理由を知ることができます。入口でメッセージをクリアする呼び出しは、このコードもクリアします。SONARE_ERROR_ABI_MISMATCH(10)は、バインディングが読み込んだライブラリがビルド時に想定したものと違うと判断したときのためのコードで、C ライブラリ自身が返すことはありません。これらのコードと、各言語バインディングが送出するものや各 CLI の終了コードとの対応はエラー契約にあります。
C++ で知っておく契約
AutomationEngine::bind_target、unbind_target、clear_targetsはnoexceptではなく、オーディオスレッドが以前のターゲットテーブルを読み終えるまで待ってから戻ります。AudioDeviceCallback::renderは、自分で埋めない出力プレーンをすべてクリアする必要があります。CoreAudio バックエンドは事前にゼロクリアしません。FormantWarpConfigの既定はlpc_order = 0(サンプルレートから導出)とframe_in_time = true(解析フレームを時間で定義し、入力レートに合わせて換算)です。小さな有声入力も大きな入力と同じようにワープされ、実質無音または非有限のフレームだけがワープされずに通ります。- 動的処理・レベル・モジュレーション系の設定(
Compressor、Gate、Expander、DeEsser、DynamicEq、AutoPan、StereoBalanceなど)は非有限の値を拒否します。スペクトル系プロセッサのprepareは、非有限またはヘルツ未満のサンプルレートを拒否します。 Project::add_clipは、重複したテイク ID、アクティブテイクの欠落、MIDI トラック上のテイク、重なる・クリップ終端を超える・負のクロスフェードを持つコンプセグメントを拒否します。AddClipは、有限でないクリップ開始・ソースオフセット・ループ長と、無限の長さを拒否します。
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