Skip to content

オーディオリペアの流れ ​

リペアは、録音の症状を確認してから処理を選びます。クリック、クリップしたピーク、電源ハム、定常的なノイズフロア、拡散した部屋の余韻には、それぞれ別の測定とアルゴリズムが必要です。まず元のバッファを測定し、根拠のある段だけを選び、同じ再生ゲインで結果をもう一度聴きます。

6 つのリペア段は古典的な DSP です。信号の一部を再構成または減衰させる処理であり、録音されなかった元の音を復元するものではありません。マスタリングチェーン内では段の順序が固定され、1 回ずつ API を組み合わせる場合も同じ順序を適用します。

症状に合わせて処理を選ぶ ​

聴こえる/見える状態先に測るもの候補となる段この段で扱わないもの
定常的な広帯域ヒス、マイクのノイズフロアmasteringRepairDetectNoiseFloordenoiseトーン性のハムやクリップしたピークの除去
狭帯域の 50/60 Hz 音と倍音masteringRepairDetectHumdehumスペクトル全体への広帯域デノイズ
孤立した不連続やポップmasteringRepairDetectClicksdeclick平らに潰れた波形の修復
平らな頂部を持つピークやデジタル上限masteringRepairDetectClippingdeclip長時間上書きされたサンプルの復元
サンプル単位の表面損傷が多数あるmasteringRepairDetectCrackledecrackle定常的なノイズフロアの除去
直接音の後ろに続く拡散した余韻masteringRepairDetectReverbdereverbルームインパルス応答のデコンボリューション
冒頭または末尾の不要な無音masteringRepairDetectTrimRangemasteringRepairTrimSilence(別のユーティリティ)6 つのリペア段には含まれない。CLI の録音クリーンアップ手順 を参照。

検出器が返すのは、それぞれのアルゴリズムが測った内容です。万能な損傷スコアではなく、値が 0 でない場合も試聴が必要です。特に、フルスケールの正弦波や矩形波は意図した信号でも時間領域の検出器からクリップと見なされることがあります。

リペア前に測る ​

以下の検出器は WebAssembly パッケージから利用できます。ここでの samples はデコード済みモノラル Float32Array、sampleRate は元のサンプルレートです。検出のためだけにリサンプリングしないでください。

ts
import {
  init,
  masteringRepairDetectClipping,
  masteringRepairDetectClicks,
  masteringRepairDetectCrackle,
  masteringRepairDetectHum,
  masteringRepairDetectNoiseFloor,
  masteringRepairDetectReverb,
} from '@libraz/libsonare';

await init();

const reports = {
  clipping: masteringRepairDetectClipping(samples, sampleRate),
  clicks: masteringRepairDetectClicks(samples, sampleRate),
  crackle: masteringRepairDetectCrackle(samples, sampleRate),
  hum: masteringRepairDetectHum(samples, sampleRate),
  noise: masteringRepairDetectNoiseFloor(samples, sampleRate),
  reverb: masteringRepairDetectReverb(samples, sampleRate),
};

console.log(reports);

デノイズ検出器は nFft サンプル以上を必要とし、短いバッファを拒否します。デリバーブ検出器は解析のために短いバッファをパディングします。短い素材を処理するときは、この違いを覚えておいてください。

固定された段の順序 ​

複数の欠陥がある場合も、根拠のある段だけを次の順に適用します。masterAudio と masteringChain のリペアスロットもこの順で実行します。

順序段この位置にある理由
1declip平らに潰れた区間は、クリック検出に必要な過渡変化を隠すことがあるため。
2declickクリップしたピークを再構成してから、孤立した不連続を直すため。
3decrackle大きなインパルスを処理した後に、密集したサンプル単位の損傷を滑らかにするため。
4dehum広帯域ノイズを推定する前に、追跡した基音と倍音を取り除くため。
5denoise残った定常的なスペクトルノイズフロアを推定し、減衰させるため。
6dereverb広帯域のノイズフロアが持続する後期残響に見えることがあるため最後に行う。

すべての段を実行するという意味ではありません。きれいな録音では、検出器が根拠を示さない段を省きます。強いリペアを行ったら該当する検出器を再実行し、処理前後のレポートをレンダリング済みファイルと一緒に保存してください。

レストレーション用プリセット ​

レストレーション用プリセットは名前付きのチェーン設定であり、新しいアルゴリズムではありません。リペア段だけを有効にし、ラウドネス正規化、目標値、最終リミッターは追加しません。現在の段の選択は次のとおりです。

プリセット想定する素材有効にするリペア段
vinylクリック、クラックル、ノイズフロアを含む LP 取り込みdeclick、decrackle、denoise
tapeHiss主な欠陥が広帯域ヒスであるテープ取り込みdenoise
fieldRecordingノイズ、場合によってはハム、部屋の余韻を含むロケーション録音denoise、適応型 dehum、dereverb
voiceMemoクリップ、ノイズ、部屋の余韻があり得るスマートフォン/ノート PC 録音declip、denoise、dereverb
shellac78クリックの幅が広く、表面ノイズが密な 78 回転盤の取り込みdeclick、decrackle、より深い denoise

正確なプリセットパラメータは マスタリングプロセッサ にあります。プリセットは出発点なので、素材とレポートを確認してから出力を採用してください。

オフライン処理の条件 ​

  • masteringRepair* 関数は完全なバッファを受け取り、新しいバッファ、または新しいチャンネルバッファを含む結果を返します。ストリーミングや AudioWorklet の段ではありません。
  • 6 つのリペア段はモノラル・ステレオ形式で入力長を保ちます。デノイズとデリバーブには、3 チャンネル以上を扱うリンク形式もあります。別の masteringRepairTrimSilence ユーティリティだけは、バッファを短くする境界処理です。
  • デノイズ解析は nFft 未満の入力を拒否し、デリバーブは解析と修復のために短い入力をパディングします。その他の検証規則は JavaScript マスタリング API にあります。
  • リペアは LUFS を整合させたり、結果を同じ音量に見せるゲインを加えたりしません。ラウドネスは別に測定し、一定の再生ゲインで比較してください。

DSP 実装解説 に古典的アルゴリズムとリアルタイム処理との境界をまとめています。正確なオーバーロードとレポートのフィールドは JavaScript マスタリング API を参照してください。

A/B PROCESS · DENOISEIDLE
デノイズ修復 — 修復前と修復後

きれいなコードに広帯域のヒスノイズを加えています。修復前後の音とスペクトルを比較し、デノイズの方式を切り替えてください。追加の音量合わせは行っていません。ノイズ低減は、音楽の立ち上がりや音色にも影響することがあります。FLOOR は高域の平均低減量(dB)です。

比較
アルゴリズム

この埋め込み A/B は古典的デノイザーを使い、ラウドネス整合を追加しません。オフライン比較の流れを聴くためのもので、素材を確認してからリペア段を選んでください。